anything 的な絞りこみコマンド percol の紹介
いつも KeySnail でお世話になっている id:mooz さんが,percol という超絶便利コマンドを作ってらっしゃいます.このコマンドはとてもライフチェンジングなコマンドなのですが,あまり Web 上に情報がないので紹介がてら布教してみようと思います.
percol のインストール&使い方
percol は入力の1行を1候補として,部分一致かつ AND 検索で絞り込みし,選択した候補を出力するコマンドです.端的に言えば Emacs の anything.el のコマンド版です.
インストール方法や基本的な使い方は github リポジトリの README に全部書いてありますが備忘録として書いておきます.
$ git clone git://github.com/mooz/percol.git $ cd percol # python setup.py install
これでインストールは完了です.インストール場所を変えたければ,setup.py に --prefix オプションをつけます.
percol を動かす前に,percol の設定ファイルが必要です.とりあえず README からそのままコピーしてきた以下の内容のファイルを,${HOME}/.percol.d/rc.py に保存します.
# X / _ / X percol.view.PROMPT = ur"<bold><yellow>X / _ / X</yellow></bold> %q" # Emacs like percol.import_keymap({ "C-h" : lambda percol: percol.command.delete_backward_char(), "C-d" : lambda percol: percol.command.delete_forward_char(), "C-k" : lambda percol: percol.command.kill_end_of_line(), "C-y" : lambda percol: percol.command.yank(), "C-a" : lambda percol: percol.command.beginning_of_line(), "C-e" : lambda percol: percol.command.end_of_line(), "C-b" : lambda percol: percol.command.backward_char(), "C-f" : lambda percol: percol.command.forward_char(), "C-n" : lambda percol: percol.command.select_next(), "C-p" : lambda percol: percol.command.select_previous(), "C-v" : lambda percol: percol.command.select_next_page(), "M-v" : lambda percol: percol.command.select_previous_page(), "M-<" : lambda percol: percol.command.select_top(), "M->" : lambda percol: percol.command.select_bottom(), "C-m" : lambda percol: percol.finish(), "C-j" : lambda percol: percol.finish(), "C-g" : lambda percol: percol.cancel(), })
このファイルでキーバインドやプロンプトを変えることができるようなので,好みに合わせて変えてみてください.
percol の簡単な使い方は,行で分割されている出力をパイプで percol に入力します.例えば
$ ls / | percol
とすると
このようにルートにあるファイルが候補になります.文字を入力して絞り込んだり,C-n, C-p で移動して1つの候補を選びます.最後に決定 (Enter, C-m, C-j) を押すとその候補を標準出力します.
関数を作る
percol は絞り込みするためのコマンドなので,あらかじめある目的の候補群から絞込みをする関数を作っておくと便利です.典型的な例が README にも書いてある,シェルの履歴を percolで絞込みする関数です.
まずこの関数を .zshrc に書いておきます.
function percol_select_history() { local tac_cmd which gtac &> /dev/null && tac_cmd=gtac || tac_cmd=tac BUFFER=$($tac_cmd ~/.zsh_history | sed 's/^: [0-9]*:[0-9]*;//' \ | percol --match-method regex --query "$LBUFFER") CURSOR=$#BUFFER # move cursor zle -R -c # refresh } zle -N percol_select_history bindkey '^R' percol_select_history
コマンドラインで C-r を押すと
このような画面になり,正規表現部分一致かつ AND 検索で過去のコマンド履歴を絞り込めます.Enter を押すと現在選択中の行のコマンドがコマンドラインに挿入され,そのまま実行するなり,一部改変して実行するなりできます.この関数が便利すぎて非常に泣けてきます.
他にもいくつか関数を自作してみましたので紹介します.
私はドキュメントファイルは特定のディレクトリにおいてあることがほとんどなので,ディレクトリ中のドキュメントファイルを絞り込んで開く関数を作っています.
function search-document-by-percol(){ DOCUMENT_DIR="\ /path/to/doc/directory1 /path/to/doc/directory2" SELECTED_FILE=$(echo $DOCUMENT_DIR | xargs find | \ grep -E "\.(pdf|txt|odp|odt|ods)$" | percol --match-method regex) if [ $? -eq 0 ]; then gnome-open $SELECTED_FILE fi } alias sd='search-document-by-percol'
これを .zshrc に書いておきます.この関数を呼び出せば,ドキュメントファイルが列挙され絞り込むことができます.gnome-open はファイルの拡張子に対応するプログラムを起動するコマンドなので,OS に応じて open なり,cygstart なりに変えてください.この関数のお陰で(ファイル名やキーワードを覚えてさえいれば)どのファイルにも5秒程度でアクセスできるようになりました.
次の関数はカレントディレクトリのファイルを絞り込んでプロンプトに挿入します.
function insert-file-by-percol(){ LBUFFER=$LBUFFER$(ls -A | percol --match-method regex | tr '\n' ' ' | \ sed 's/[[:space:]]*$//') # delete trailing space zle -R -c } zle -N insert-file-by-percol bindkey '^[c' insert-file-by-percol
これを .zshrc に書いておくと,M-c で絞込みを開始します.カレントディレクトリのファイルの補完は当然 zsh の TAB でできます.しかし file001〜file100 のように同じ接頭語のファイルが複数あるディレクトリでファイルを補完する場合には,この関数のほうが有利かもしれません.マークすることにより同時に複数ファイルを挿入できます.
まとめ
anything 的な絞りこみコマンド percol の紹介をしました.最近 Emacs でも anything 脳が着々と進み,そろそろ OS レベルで anything 的なインターフェースを用意してくれないかなー,と思っていた矢先 percol を見つけたので大変重宝しています.
percol の以前にも同じようなコマンドとして zaw や canything が開発されていました.が,前者は zsh 依存ですし,後者は正規表現や日本語が扱えず少々機能不足です.その点 percol のいいところは
- python さえあればどこでも動きます.私は基本的には Ubuntu で使っていますが,Cygwin on Winodws7 でも普通に動きます.すばらしい.
- アクションで拡張可能.絞込み中に TAB を押すとアクションが選択できます.デフォルトでは,標準出力する,というアクションしかありませんが,python スクリプトを自分で書けばいくらでもアクションを定義できるようです.ユーザの発想次第でいくらでも便利に拡張できると思います.
あたりがあげられるかと思います.
逆に悪い点というか,個人的な要望としては以下の様な点があります.
- percol が起動するのに少々時間がかかります.Ubuntu ではほぼ気になりませんが,Cygwin だと0.5秒ほどかかります.許容範囲内ではありますが.
- 一旦マークした後に絞り込み条件を変更するとマークが解除されてしまいます.絞り込みを渡り歩きながら複数候補をマークすることができないので,若干不便です.
日本語入力はできますが,個人的には migemo れると最高.正規表現との混在はめんどくさいと思うので,--match-method migemo とかあると感涙に咽びなきます.ばっちり対応して頂きました.anything 的絞りこみコマンド percol が migemo 対応しましたも御覧ください.
もし percol に興味を持った方は,github の README をとりあえず真似してみて,履歴検索の威力をためしてみるといいと思います.
最後に mooz さん,とってもすばらしいコマンドを開発していただきありがとうざいます.